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2010年2月 8日 (月)

Panasonic製LED電球の謎

LED電球は、昨年秋~今年始めにかけて大手電気メーカー各社の製品が出揃い、いろいろなところで話題になっている。私は、もう2年位前からLED電球を使っていて、怪しい製品に手を出して痛い目にあったりもしているので、まとめを書こうかと思っていたのだが、今出回っている中では一番出来が良さそうなPanasonicの製品が品薄で未入手だったため、二の足を踏んでいた。別の用事で立ち寄ったイトーヨーカドーで、何気なく電気器具売り場をのぞいたら、あるじゃあないか、Panasonic!
即Getして、既に入手していたSharpの製品と比べていたら、妙なことに気がついた。

       

「ふーん、SharpはMADE IN CHINAでPanasonicは日本製か。Panasonic以外の製品はデザインが似ているけど、もしかしたら全部Chinese Style?」などと、変なことに感心していたのだが、仕様を見ていて「なんだ、こりゃ?」的なことに気づいた。「定格入力電流」が著しく違うのだ。

Fig1

Panasonicの「定格入力電流」0.13Aは、Sharpの0.076Aに対して倍近く大きい。「定格消費電力」がそれぞれ6.9Wと7.5Wなので、実使用時の入力電流と消費電力が定格と同じだとすると、Panasonicは著しく力率が悪(低)く、それぞれ0.53と0.99になる。いくらなんでも0.53は悪すぎるので、実際の入力電流を測ってみた。

Fig2

測定にはCUSTOMのデジタル・クランプ・メーターC-02を使用した。これには、若干精度が落ちるものの、2Aレンジがあるので、電気器具の待機電流、漏洩電流や今回のような小さな電流を測るのに便利だ。なお、クランプメーターは分電盤など通常単線で配線されている部分の電流測定に使われ、回路を切らずに電流測定できるが、電気器具の入力電流などを測定する場合に往復の電線2本まとめてクランプしても磁場が打ち消しあって測定できないので、今回準備したようなジグが必要になる(2本まとめてクランプすると、コモンモード電流、または漏洩電流を測定していることになる・・・通常ゼロ)。

Fig3

測定結果は、Sharpの製品が0.073A、Panasonicの製品が0.058Aである。どちらもこの測定結果を真に受け、消費電力が定格通りだとすると力率が1を超えてしまう(あり得ない)。測定値が低めに出るような誤差がある、ないしは消費電力が定格より低めになっている、と考えるのが妥当だろう。仮に、正しい消費電流がSharpの場合定格通りの0.076Aだとすると、Panasonicは0.06Aを少し超える程度になる。どちらの製品も力率は限りなく1に近く、Panasonicの製品の実消費電力が6W程度と考えれば、納得できる数字だ。

Fig4

ここでハタと、「定格入力電流」の定義が何か、気になりだした。「定格入力電流」ではないが、このサイトの説明によれば、安全性などを考慮して「定格電流」を「表示」することが法律で義務付けられているが具体的な数値の決め方は製造業者の裁量、との事。恐らく「定格入力電流」も同様ではないだろうか。全く余談ではあるが、最近、中学校の技術家庭でこの様なことが教えられているのか、と感心してしまった。

Panasonicはなぜ定格入力電流を実使用時入力消費電流のほぼ倍の0.13Aに設定したのだろう。もしかすると、電源を入れた瞬間に流れる突入電流を考慮したのかもしれない(サーバーなどの場合、突入電流は定格とは別記載が普通)。そうなると、定格と実使用時入力電流の差が小さいSharpの製品はどうなっているのか気になるところだが、実はSharpの製品の方がPanasonicよりも明らかに劣っている点があり、そのことと関係していると考えると辻褄が合う。しかし、以上は憶測の域を出ないものであり、真の理由を知りたいものである。

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