« シマリスと暮らす(2)シマリス♀は春に囀る | トップページ | GPS誕生に貢献した日本人 »

2010年3月 9日 (火)

LED電球 Sharp DL-L601Nのその後:不適切な用途?

懲りずに、またしてもこっそりトイレに取り付けてみたが、3日ほどで苦情をもらってしまった。今回は、昼白色はなじめない、との事(家中の照明を電球色またはそれ相当に統一している)。フリッカ(ちらつき)について聴いてみたら「前の(KFE LB07-E26WW)よりはマシだけど・・・」だそうだ。やはり、気になる人には判ってしまう程度のフリッカがあると言えるだろう。

ここでふと気が付いたのだが、もしかしたら「トイレにLED電球」は不適切な取り合わせなのかもしれない。どう考えても、1日に10時間も点灯しているはずが無いからだ。

LED電球に関して「点灯してすぐ明るくなるので、頻繁に点滅する用途に向いている」と言った記述をよく見かける。このこと自体誤りではないが、「頻繁に点滅する用途」は1日あたりの延べ点灯時間が短いのではないか、との疑いが生じる。もちろん、CO2排出削減や電気代節約を重視するわけなので、無駄な点灯は極力避けた場合の話だ。

---

トイレでは「もと」が採れない?

今回話題にしたトイレの場合、仮に、4人家族、1回平均3分、一人1日平均5回利用(照明点灯の場合に限る)とすると;

4 x 3 x 5 = 60分/日 = 1時間/日

こうなると「1日10時間使っても10年以上もつ」と言われているLED電球なので、100年以上もってしまうことになる。これは結構なことなのだが、それと同時に、こちらのWebサイトによれば、白熱電球と比較しても「もと」が採れるのに10年以上かかることになる。

何らかの理由で、10年以内にLED電球を使わなくなってしまうと、「もと」が採れずに損をしてしまう。特に、私のように買ったものの使わなければ、丸損だ。金額が小さいので大勢に影響ない、と言ってしまうこともできるかもしれないが、悪影響はそれだけに止まらない。


無駄な買い物は環境に優しくない

素朴過ぎるかもしれないが、以下のように考えると、高価なLED電球を買っても、電気代である程度「もと」を採らないと、かえってCO2排出増加を招きかねないようだ。

LED電球を\3,980で買ったとすると、その時点で;

  • 日本の経済規模が\3,980分、拡大する、つまり
  • 日本のGDPが\3,980増加する、しかし
  • \3,980はGDP全体から見れば極めて僅かなので、GDPあたりのCO2排出量に影響するほど経済構造を変えない、そうなると
  • \3,980 x(日本の年間CO2排出量)÷(日本のGDP)に相当するCO2排出量増加を招く

もしかすると経済規模やGDPの理解に誤りがあるかもしれないが、少なくとも近似として、この様な議論が成り立つはずだ。

2010/3/9追記:以下の記述において2008年GDPを\556,558,000,000,000(実質値)としていたが、\507,566,600,000,000(名目値)に訂正するとともに、関連する数値をこれに基づき計算したものに訂正した。

こちらによれば2008年のGDPは\507,566,600,000,000であり、こちらの「日本の温室効果ガス排出量データ(1990~2008年度速報値)」(右隣のリンク「xls 740kB」からダウンロード:直接リンクはこちら)によれば2008年のCO2排出量は1,216,200,000t(1t = 1,000,000g)なので、上の理屈だとGDPが\1増える毎に2.396gのCO2排出が増え、\3,980では約9.5kgの増加になる。

9.5kgのCO2排出を相殺するためには、先に紹介したSharpのシミュレーションの結果から逆算した数値17.7g(CO2)/\(電気代)に基づくと、電気代を\539節約する必要がある。

電気代を\539節約するには、先に仮定したトイレの条件だと、60W形白熱電球→60W相当LED電球の場合は約1年6ヶ月、40W形白熱電球→40W相当LED電球の場合は約2年1ヶ月かかる。

以上の議論では、LED電球を製造する際に消費するエネルギーと、それに伴うCO2排出、および白熱電球の値段(¥120程度)を考慮していない。今使っている白熱電球を置き換える前提なので、考慮するとLED電球はさらに不利になる。ただし、LED電球の寿命40,000時間を信じるなら、標準的な白熱電球の寿命は1,000時間なので、長期的にはLED電球が有利となるように働く可能性がある。


余計な心配

寿命の比較でLED電球は白熱電球40個分に相当するが、実売価格は白熱電球40個分より安い場合が多い。それを考えると、メーカーや家電量販店はLED電球が1個売れるのと引き換えに今後売れたかもしれない白熱電球40個分のビジネスを失うことになる。単純な比較だと、合計売上が減少する。

一見、損を承知でエコ・ビジネスをやっているように見えるかもしれないが、そうではない。今\3,980を得て今後十年間、毎年\480のビジネスを確実に失うとしても、借り入れの分割返済だと考えれば年利3.6%程度に相当し、そんなに悪い話ではない。むしろ、今手にした\3,980を元手に、毎年¥500のビジネスが得られるかもしれないからだ。今日の\100は明日の\100よりも価値が高い、と考えるのが一般的である。

あるいは、今後数年経ったら、LED電球の実績寿命は40,000時間を大幅に割り込んでいたことが判明、と言うオチは止めて欲しいが、無いとも言えないのが不気味である。


いずれにしても・・・

電気代の節約やCO2排出削減を考えるなら、先ず無駄な点灯を無くすべきだ。これはLED電球に替えた後でも同様で、「電気代が安くなったので、少々の点けっぱなしは大丈夫」と考えたのでは何にもならない。

また、近年日本の住宅照明は少し明るくなり過ぎたのではないか、と思っている。同じ種類の光源で、ワット数を2/3~半分位に落としても問題ない場合が多いのではないだろうか。これができれば、確実に電気代の節約とCO2排出削減につながるはずだが、多くの場合照明器具の交換が必要になるので、器具の交換時期や新調する際に合わせて行わないと効果がないだろう。

ちなみに「60W相当」として売られているLED電球は、私が試した限りでは白熱電球40W相当程度である。上のように考えると、ちょうど良いのかもしれない。

しかし、どう考えても、私のようにLED電球を買ったものの、使わずにしまっておくのが最悪だろう。こうやってblogに書いているのは、その罪滅ぼしみたいなものである。

|

« シマリスと暮らす(2)シマリス♀は春に囀る | トップページ | GPS誕生に貢献した日本人 »

住まい・インテリア」カテゴリの記事

コメント

LED電球の良し悪し、面白く拝見させていただきました。
YoutubeにはAMラジオにどのくらい雑音が乗るかの映像も有りました。
無線を趣味としている方々には、深刻な問題なのでしょうね。

http://www.youtube.com/watch?v=0eYiLoqh53M

投稿: らりほー | 2010年7月18日 (日) 16時05分

らりほー さん、

情報提供、ありがとうございます。
この50年ほどで、長波~中波~短波帯の人工雑音は増加の一途をたどってきました。
蛍光灯、自動車(今はかなり改善された)、TV受像機、インバータ化された機器類、コンピュータ等が主な雑音源です。
LED電球もその中に含まれますが、量的な寄与は限定的だと思います。
もうとっくに我慢の限界を超えてるから、これ以上多少増えても関係ない、と言うところかもしれませんね。

この動画をYoutubeに投稿した人は、「電波環境」がエコロジーの全てだと思っているみたいです。
確かにノイズは多いより少ないほうが良い。その意味では、Panasonicは善戦していると言えると思います。
でも私は、もっと大事なことが他にあると思うのですが。

一般論として、電球の基本性能である光の質とエネルギー効率が悪くなるのを許容すれば、この動画に出てくる「ゼロノイズ電球」の様な物は、多くの場合ノイズを出すものより低コストで製造できます。
このブログの他の記事で取り上げているKFE LB07-E26WWがその一例です。
http://mitaka1954.cocolog-nifty.com/blog/2010/02/led-e3da.html
http://mitaka1954.cocolog-nifty.com/blog/2010/02/led-kfe-lb07-e2.html

もしそうではなくて、Youtubeに出てくる「ゼロノイズ電球」がSharpやPanasonicの製品などと同等以上の基本性能を確保した上でゼロノイズを達成しているなら、それはすばらしいことです。
どうやったのか、ぜひ知りたいものですね。

投稿: エンジニア | 2010年7月18日 (日) 18時53分

ゼロノイズLED電球にご関心頂きありがとうございます。

上記商品は幼少時に明治生まれの婆様に「もったいない」精神を叩き込まれた小職が知りうる限りの技術を投入して設計しました。
(1)インバータを使っていないので100~400KHz近傍のノイズは出しません。
(2)日本のAC100Vの商用電源に特化して設計しているためほとんど電圧変換ロスがありません。
(3)メーカー製のLEDより電気→光変換効率は高く、1.5倍ほどです。(100lm/W くらい)
(4)商用電源を整流した後に充分な容量のコンデンサを使用しているのでフリッカはありません、定電流回路回路を使っていますので、商用電源に起因するちらつきも発生しません。
(5)欠点はメーカー製より部品点数が多いため組み立てコストがかかります。部品代金も(おそらく)高いです、故障率も(おそらく)高いです。

流通コストを限りなく圧縮すれば、40W品で2000円/80W品で2500円/120W品で3000円くらいで提供出来る計画です。
ご興味ございましたら、ご連絡いただければ、サンプルをご提供いたします。 ご連絡まで。

投稿: 設計者です。 | 2010年8月23日 (月) 19時49分

「設計者です。」さん、

コメント、ならびにサンプルご提供のお申し出、ありがとうございます。

このblogでは世の中の「モノ」や「コト」を取り上げ、褒めたりけなしたり、さらに優劣をつけたりしております。できるだけ多くの方々に共感していただけるように、そして誰に気兼ねすることなくそういった内容を今後も書いていきたいと思っておりますので、このblogを媒介して特定の個人や会社から便宜を提供していただくのは最も避けなくてはならないことだと考えております。

ゼロノイズLED電球には「どうやったらそんなことが可能になるのだろう」と興味があり、サンプル提供のお申し出は大変ありがたいのですが、上記のようにお受けできない事情がございますこと、ご理解下さい。

私の勝手を申し上げれば、誰でもアクセスできるホームページなどにゼロノイズLED電球の詳細な技術解説を載せていただければ、と思っております。そうしていただければ、利害関係なくblogで取り上げるのも可能になりますので。技術雑誌に解説記事を掲載していただくのも良いと思います。既にお済だと思いますが、特許出願してあれば、その解説を読んで模倣されることによる損害も無いと思うのですが、いかがでしょうか。

投稿: エンジニア | 2010年8月23日 (月) 23時02分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/543745/47702008

この記事へのトラックバック一覧です: LED電球 Sharp DL-L601Nのその後:不適切な用途?:

« シマリスと暮らす(2)シマリス♀は春に囀る | トップページ | GPS誕生に貢献した日本人 »