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2010年8月18日 (水)

Panasonic LED電球 LDA7L-A1 から怪しい電波が・・・?

広帯域デジタルオシロで遊んでいたら、何かマズイ物を見つけてしまった様だ。

少々古いがTektronix製のデジタルオシロをしばらく使える機会に恵まれたので、更新が滞っているblogのネタにしようかなどと思いつつ、最近では当たり前になっているスイッチング式ACアダプタ各種のノイズ比較を始めた。最初は想定していた「安物はノイズが多い」と言う、ありきたりなシナリオ通りの結果で、安心すると同時に少しがっかりしていたのだが、対照としてスイッチング方式ではない古典的なACアダプタを測定したら、想定外に高周波ノイズが多いのに気付いた。ピーク値で数十mV程度と言う、微妙に気になる水準だ。多分、AC電源ラインのノイズが回り込んでいるのだろう。

これは困った事であると同時に、何かを期待させる現象である。

困った方の理由は、シナリオを少し変更しなければならないかもしれない事と、場合によってはAC電源にしっかりしたノイズフィルタを入れないと有意義な測定ができなくなるおそれが考えられたからだ。後者に該当すると、ちょっと面倒である。

しかし、事態は期待を裏切らなかった。

コンセントから引き抜いても、レベルが30mV程度に下がるものの、依然としてノイズを検知している。高周波的に、かなりインピーダンスが低い場所で計っているはずなのに、少し様子がおかしい。ACアダプタなしで、プローブのチップをGNDクリップでくわえさせても、未だノイズを検出している。レベルも30mV程度からそんなに変わらない。正体に迫ろう、と時間軸を拡大してみてビックリした。

Fig0000

周波数約120MHzのバースト波である。VHF航空管制帯、つまりエアバンドにかかっている。どこかで通信の妨害になっていたら、かなりマズイ。「例の123便の件からちょうど4半世紀。何かの因縁?」などと思いつつ、OFF/ONして突き止めた発生源はPanasonic LED電球 LDA7L-A1だ。

LED電球本体は2m、一番近いAC電源コード類でも1m程度プローブから離れているから、完全に電波として伝播している様だ、などとシャレを書いている場合ではない。以前の記事に「LED電球から発せられるノイズは、アマチュア無線にとって大問題」といった趣旨のコメントをいただいていたが、こう言った事を指していたのだろうか。

いずれにせよ、blogネタとしてはACアダプタよりもこちらの方がおもしろそうだ。

今回はPanasonic LDA7L-A1の現象の上っ面を少し引っ掻いた程度で息が切れた。少なくとも他社のLED電球や、電球型蛍光灯・インバーター式蛍光灯器具類などとの比較は必要だと思うし、もう少し違う切り口もありそうだ。

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プローブを使ってオシロで計った30mV@120MHzは信用できない

Tektronix広帯域プローブの取説の「Adverse Effects of Ground Lead Inductance」と言う項目には「プローブのGND線のインダクタンスと入力キャパシタンスが百数十MHzで共振するので・・・」と言う趣旨の注意書きがある。

Probereso

注意書きは「この共振回路は信号源インピーダンスRsだけでダンピングされているので、Rsが低い場合もの凄くQが高くなって、測定に支障をきたす場合がある」と続いている。今回、Rsはゼロではないが120MHzにおけるGND線の抵抗値だけなので、「もの凄くQが高くなって」いるはずだ。共振周波数120MHzは少し低すぎるような気もするが、もしこの周波数で共振していたら、前の測定結果はかなり怪しい。パルス幅が数nsよりも狭いインパルス性のノイズは、どれも前のような測定結果になる可能性があるからだ。

ただし、そのようなインパルス性ノイズが発生しているとしたら、それはそれで問題だ。それに本当にもの凄くQが高いにしては、持続時間が短過ぎるような気もするので、周波数はある程度信用できるのかもしれない。(この推定は正しいと、後ほど判明)

なお測定された振幅も、何か同じ条件の基準が無いと、強いとか弱いと言った相対的な比較すら困難である。



事業目的なら

この様な話は、校正済みの電波暗室+標準アンテナ+スペアナで「一丁上がりっ」だろう。自社で設備を持っていなくても、代行サービスもあるようだし・・・。しかし、そういったサービスもかなり高くつきそうなので、遊び半分で利用できたものではないと思う。



次善の策

最終的には受信機がノイズを感じるかどうかが問題なので、実際に受信機を使ってみるのが一番判りやすいと思う。スペアナと言っても、結局は自動的に周波数を変えながら信号強度を記録している受信機に過ぎない訳だし。

ただし電波暗室ではないので、他のノイズ源からの信号やアナログTVの映像サイドバンド(これが結構ノイズと紛らわしい)の影響を受けないよう、アッテネータで受信感度を落として目的のノイズ源に近い距離で受信する事が必要になってくる。

手元にあったYUPITERU MVT-7000(ハンディ・ゼネカバ受信機)のAMモード(FMでは無信号時の受信機自身のノイズで判別困難)で試した。この種の受信機は、ホイップアンテナである程度まともに使えるよう作られているので、感度は結構高い。内蔵ホイップをいっぱいに伸ばし、アッテネータを入れて、問題のLED電球本体から約1mの距離で、120MHz丁度に何かの信号があったので91MHzから10MHzおきに受信してみた。

明らかにノイズが受信できたのは111~151MHzの範囲である。101 MHz と161 MHzでは予めノイズがあることを知っていれば判る程度の受信状況で、91 MHz と171 MHzはノイズが感じられなかった。

アッテネータを切って131MHzを受信すると、場所による強弱の変動はあるが、屋内ならかなり広い範囲(と言うか、ほとんど家中)でノイズが聞こえた。AC電源配線を伝っているのだと思う。屋外ではほとんど聞こえないが、少なくとも1箇所、かすかに聞こえる場所があることを確認している。

これは本当にマズイかもしれない。この周波数帯域にはアナログTV放送の一部とアマチュアの2mバンドが含まれるが、それ以外に警察・消防・電力・鉄道など、社会的に重要な業務用無線が割り当てられている。これらに支障が出ると生命に関わる場合がある、と言われても否定できない。

ただし支障が出るかどうかは、ノイズの強度次第である。

ゼネカバ受信機での感触は、ホイップアンテナで運用しているハンディ機と同じ家で使うのには十分問題がある程度のノイズレベルだと思う。その一方、今回調べた限りは隣近所、およびそれよりも遠くへの影響は無さそうだ。

しかし・・・今回測定を行ったのは、建物は木造家屋ではあるが、恐らく外装にしっかりとしたラス網を使っているせいだと思うが、屋外からの電波をかなり遮蔽する建物の中である。一部の携帯電話が圏外になる場合もあるくらいなので、中から外に出る電波もかなり遮蔽しているはずである。また屋内の広範囲なAC電源配線にノイズ成分が乗っていると思われるので、電波をあまり遮蔽しない構造の建物だと、AC電源配線の形状次第で特定の方向に強い電磁波ノイズを輻射している場合が無いとは言えないだろう。



What’s next?

これで終わるにはもったいない話題だ。しかし、今回はここで息が切れた。少し勉強しないといけないことも有りそうだし。

確約できないが、本件続く、と言う事にしたい。

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コメント

東芝製のLEDは玄人からみるとどうでしょうか?ノイズやフリッカー等は唯一日本製なので期待しているのですが、

投稿: ひろ | 2010年9月10日 (金) 20時31分

ひろ さん、
「玄人」って私のことですか?
ちょっと違うような気がしますが・・・それは置いておいて。

東芝のLED電球は触ったことが無いので良く判りません。
色々な情報を見ると良さそうなので「次に買うなら東芝」と思っていますが、「次」の機会が当分巡って来そうにないです。悪しからず。

投稿: エンジニア | 2010年9月11日 (土) 17時47分

8月下旬に行われた電気学会産業応用部門大会にて、「照明機器のEMC規格」というタイトルで論文発表されています。
LED電球の雑音端子電圧は電安法の試験に基づいた結果だと30~300MHzで充分に規格を満足しているが、放射妨害波では150MHz付近でCISPR15の限度値を超えていることが分かり、雑音端子電圧と放射妨害波が完全に相関してないことが分かったとのこと。

ただし、LED電球に関しては、電安法の指定品目でないため、規制対象外。
これについては今年中に指定品目に追加予定。
また、雑音端子電圧と放射妨害波に相関性成り立っていないことが確認されたので、評価方法の見直しを早急に検討するとのこと。

投稿: ぽーご | 2010年9月17日 (金) 23時13分

ぽーご さん、
コメントありがとうございます。

私が見つけた現象は、既に然るべき場所で議論されている、と言うことだと理解しました。
学会発表が8月下旬だとすると、少なくとも予稿は私の記事よりも先行していた事になりますねぇ・・・。

私は、この方面の行政ルールを知らなかったので、今回少し調べてみましたが、良く分りませんでした(^-^;
(FCCルールなどに比べ、日本の法令は分り辛い感あり)

貴コメントから推察するに、今までは放射妨害波との相関を根拠に雑音端子電圧の値で規制されていた、と言う事でしょうか。
そうだとすると、それは明らかに無理筋。
放射妨害波に寄与するのは主にコモンモード成分ですが、雑音端子電圧はノーマルモード成分ですから。

もちろん、一定の条件の下で雑音端子電圧が放射妨害波と相関する場合はあるとは思いますが、あくまで特別なケースと考えるべきでしょう。

憶測ですが、雑音端子電圧に比べて放射妨害波を測定するのは手間も費用もかかり過ぎると言う、ビジネス上の事情があったのかも知れませんね。

LED電球が指定品目に追加され、評価方法が見直された後、既に販売された製品に規制値を上回るものが多数あった場合の取り扱いがどうなるのか? 「寿命10年」を謳い文句に、行政も旗を振っているだけに気になります。

投稿: エンジニア | 2010年9月18日 (土) 15時39分

このバースト発振、周期はどのくらいですか?発振のトリガーはなんなのだろう?

投稿: | 2010年9月18日 (土) 15時46分

名無し さん、

周期は約22μs。
発振と言うよりもスイッチングに伴うリンギング的なものではないかと考えています。

続きの記事を近日公開予定。乞うご期待!

投稿: エンジニア | 2010年9月18日 (土) 15時54分

まちがえだらけのLED電球選び?(2010.02.15)のサンプルA(丸善電機)では怪しい?電波は確認できないのでしょうか?

投稿: でんこ | 2010年9月18日 (土) 23時25分

でんこ さん、

丸善電機ANAMEA100V35Wについて、2~200MHzの間、受信機を使った簡易調査を行いっています。
アッテネータを切ってアンテナをLED電球に近づけた状態だと、2MHzから30MHz近くまでの広い範囲でノイズの存在が判りますが、アッテネータを入れると判らなくなる程度の強さです。
今回LDA7L-A1で見つかったノイズに比べかなり弱く、「怪しい電波」は無いと言って良いと思います。

投稿: エンジニア | 2010年9月19日 (日) 16時43分

他社製の電灯の下で、激しい痛みを感じたので計測すると放射線が計測されました。0.158μsv/hでしたが、ブレーカーを落とすと正常値に戻りました。勿論、電界、磁界も高かったですが、放射線には驚きました。

投稿: 電灯放射線 | 2011年6月13日 (月) 19時41分

電灯放射線 さん、
不思議なことがあるのですね。驚きました。どんな仕掛けで放射線が出るのか、想像もできません。

当該製品の製造または販売元「お客様相談窓口」などに、この事を連絡しないとマズイと思います。
「激しい痛みを感じた」のは、明らかに健康に影響があると思うのですが・・・?

投稿: エンジニア | 2011年6月13日 (月) 20時19分

電灯放射線さんへ
可能性の1つとして、GM管方式でも、シンチレータ方式でも、かなり高感度な測定器であるため、、インバータなどのノイズにより、サーベイメータが誤検出(誤表示)している可能性があると思います。

これを切り分けるには、電気的検出を行わない「霧箱」を利用した放射線確認が一番良いと思います。「霧箱」を近づけてみてその状態で切り分けられると思います。「霧箱」はググると自作方法がたくさんのってますので一度試してみては如何でしょうか?

投稿: 通りすがり | 2011年7月14日 (木) 12時21分

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