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2012年5月18日 (金)

C920画像センサーの基礎情報

Webカメラでも以前はもう少し詳しいセンサー情報が公表されていたように思うが、C920に限らず最近の製品の画像センサーについては画素数しか公表されない場合が多い。これは商品の位置づけがマニア向けではなく一般消費者向けに変わってきたことを反映しているのだろう。

天体写真撮影に使うので、画素ピッチおよび有効受光エリア寸法は把握しておきたい。これに加え、いくつか気付いたことについて書いておく。

2012/4/23訂正:
「ファイル形式は1080pがmovである以外はwmvになる」とあるのは誤り。
「ファイル形式は1080pと720pがmovである以外はwmvになる」が正しい。

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上弦の月

4月28日、月齢7の月を見ながら日没を待っていたら雲が広がってきたため、空が明るい内に直焦点(500mm)・1080pで撮影し、コンポジット合成など後処理した。後続処理の都合で白黒にしている。

Moon_bw

2M画素の画像にしては少し甘い感じがする。焦点が合わせきれていないかシーイングの影響があったかもしれない。Webカメラ画像の長辺が月の直径・約0.5度よりも少し大きいことが一目瞭然だが、もう少し定量的に見てみよう。

ピクセル単位で目盛りを入れて、月の地平線が見分けやすいよう明るさを擬似カラーで表示し、上端と下端を拡大した。

Moon_plot

月の直径が1720画素(1830-110)であると読み取れる。

この時の月の見かけの半径が15.2分角なので、500mm直焦点上の画像の直径Dは;

Formula1

従って、画素ピッチpおよび有効画像エリア寸法:縦H x横Wは;

Formula2

以上は1080pモードで出力された画像に関するものだ。C920の物理的な画像センサーは3M画素あり、AMCapの様な汎用キャプチャーソフトウエアで調べると有効画素数が2304x1536の3:2フォーマットであることが判る。また高さを切り詰め16:9フォーマットにした2304x1296画素のモードもある。

Frame_size

1080pモードと2304x1296モードで画角は同じに見えるので、信号処理でサンプルを間引いている様である。これを信じて物理的な画像センサーの寸法を計算すると;

Formula3

3:2フォーマットの寸法をみると、小型ビデオカメラ用として一般的な1/3型センサーであることが確認できた、と言えるようだ。画素の配列が正方形ではなく長方形の場合もあり得るが、特に決め手となる根拠も無いので、正方形と想定している。

画素ピッチ2.14μmはかなり小さいが、天体望遠鏡で使う場合どうなのか考えてみよう。

実質的に点光源である恒星の像の大きさは、望遠鏡に収差が無いと仮定するとエアリーディスクの大きさ2.44λF(直径)になる。私の望遠鏡F=7.7と可視光の中央付近λ=500nmについて計算すると9.4μmで、この中に3x3=9画素がすっぽり納まってしまう。これは直焦点に関する値である。

デジタルカメラでは画像センサーの前に光学的ローパスフィルターが入っていて、点光源の像を2x2=4画素にぼかすようになっている。これはセンサー上の像の最高空間周波数がサンプリング理論のナイキスト周波数を越えてエリアスノイズ(モアレと呼ぶ場合もある)を発生しないようにすること、およびベイヤー配列のカラーセンサーで正常に色分解できるようにすることが目的だ。天体望遠鏡であっても同じことが言えるが、上で計算したように2x2=4画素は1つのエアリーディスクの中に充分納まるのでローパスフィルターは要らない、と言うか、5割ほど画素ピッチに余裕がある(画素数なら2倍)。4画素がエアリーディスクに内接する条件でF5、面積が同じになる条件だとF4.5まで大丈夫である。

以上の計算から直焦点でも充分な分解能であることがわかるが、私の小さな望遠鏡で火星のような見かけの大きさが小さい対象を直焦点で撮影すると画素の角が目立ってしまうため、実際はアイピース拡大法で3倍程度に拡大することになる。

 

フレームレートなど

汎用キャプチャーソフトウエアを使うと、フレームレートは1920x1080とそれより小さいサイズでは最大30FPSまで設定できるが、

Fps_1080p

2304x1296および2304x1536は2FPSにしか設定できない。

Fps_full

またLogicool純正のキャプチャーソフトウエアでは1080p、720p、480p、および360pしか選べない。これらはそれぞれ1920x1080、1280x720、864x480、および640x360に対応するものと考えられる。この場合、フレームレートは全て30FPSで、ファイル形式は1080pがmovである以外はwmvになる(ユーザー選択不可)。

なお、どこかにボトルネックがなければ設定したフレームレートでキャプチャーできるが、露出を上げていくと実際に画像が更新される頻度は2回/秒位まで下がるようだ。つまりシャッター速度が遅くなると言うこと。30FPSでも15フレームずつ同じ絵が続いているかのように見える。従って、ゲインを出来るだけ大きくして露出を抑えるようにすると実効フレームレートが上がるので、シーイングが良くない時に有利である。ちなみにC920はゲイン最大に設定してもノイズをほとんど感じないので、最大ゲインをもう少し高く設計してくれた方が天文向けには良かったと思う。

 

ズームなどについて

純正キャプチャーソフトウエアでズームを行った場合、最も拡大すると2304x1536の画像から所定のサイズを切り出す処理を行っているようだ。これは惑星などの撮影に利用できそうである。と言うのは、私の望遠鏡の角分解能(1.78秒角)を考えると見かけの大きさ1秒角について2画素以上あれば充分であって、むやみと光学的に拡大しても暗くなるだけで無意味だと考えられるからだ。最もズームアウトした状態で目的の天体を中央付近に導入してからズームインすれば、導入がずいぶん容易になる。ソフトウエアでパン・ティルトが行えるのも便利だ。

大きな画像サイズ、例えば1080pで撮影・コンポジットしてから切り出しても同じ結果になるはずだが、記憶容量や処理負荷の点で不利になる。

私の環境によるのかもしれないが、1080p 30FPS無圧縮avi(movからffmpegで変換)ファイルをRegiStax 6でコンポジット処理する場合10秒程度が限界の様で、これ以上長時間のファイルでAlign処理を開始すると「Starting Extended AVI mode」と一応頑張っているようだが「Processing bitmap: 0」とステータス表示した後フリーズしてしまい、タスクマネージャでプロセスを削除しないと終了すら出来ない。360p 30FPSならもっと長時間のファイルでもOKである。また1080pでも予め全フレームを画像ファイルにしてあれば300枚(10秒分)をかなり超えても問題ないので、もしかすると一時ファイルを作るスペースが足りない、と言うオチかもしれない。何であれ、フリーズするのは勘弁して欲しい。

なお、ズームが行えるのは動画キャプチャーだけで静止画では使えない。また汎用キャプチャーソフトウエアを利用している場合はズームの挙動が少し違い、ズーム率によっては物理的解像度を超えてソフトウエア補間で拡大している疑いがあるが、白黒はっきりさせられるだけの手がかりは未だつかめていない。

 

今回のまとめ

月の直径がWebカメラ画像の長辺にちょうど収まる条件だったため、画像センサーの寸法をかなり正確に測ることができた。同じ3M画素のWebカメラでも1/4型センサーを使っている機種もあるようなので、1/3型と判ったのは一応の収穫だ。Logicoolの現行最上位機種と言うことになる様なので、当然なのかもしれない。

このWebカメラは口径300mm/F5くらいのニュートン式反射望遠鏡などと組み合わせると最高だろう。私の小さな望遠鏡とっては、ズーム機能で導入が楽になるのが最大のメリットになりそうだ。

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