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2012年5月29日 (火)

天体改造C920のIRカットフィルターテスト:月、土星

昼間晴れていても夕方近くなると雲が出てくる日々が続き、今日(5月28日)なんか雷雨になってしまった。天文道楽には最悪な毎日だと思いながら21時過ぎ外を見ると、西の空に上弦の月がかかっている。

大気は濁っている上、シーイングも悪い。それでも見えるだけマシと望遠鏡を持ち出したが、北の空には雲がかかって極軸が合わせられない。月が相手ならまぁいいか、元々3%違うからと、概ね北に向けて観測開始だ。

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月でテスト

IRカットフィルターを装着した動画。

RightLight on、白バランス自動で、ごく普通の絵になった。IRカットフィルターの短波長側通過帯域幅が広いためか、青白さが目立つような気もする。もしかするとハイライト部分で白飛びしているかもしれない。

高度が低いせいもあるが、酷いシーイングだ。静止画に落とす気にならない。

比較のためIRカットフィルターを外した動画も撮ってみた。IRカットフィルターをカメラ内蔵にしなかったのが怪我の功名である。

IRカットフィルターを装着したのと同じ条件。白バランス自動なので、強いマゼンタ被りになる。レタッチなどで、目で見たのと同じような色にすることは可能だ。しかし、それでも明暗パターンの違いが残る。

以前から話題にしていた、波長850nm付近の近赤外線の影響は無さそうだ。出るとしたら月と太陽しかないと予想していたので、取り越し苦労だったと言えそうである。

 

土星に挑戦

そうこうしているうちに、北の空の雲がとれ北極星が見えるようになった。南に眼をやると、濁った空気で翳みそうな土星が見えている。アイピース拡大では未だ成功していないが直焦点ならいけるだろうと言っていた対象だ。極軸を合わせて、IRカットフィルターを装着し、ファインダーで導入した。

小さな被写体なので、カメラの調整を機械任せにしたのではうまくいかない。露出、ゲイン、白バランス全て手動で調整する必要がある。ただしコントラストなどはディフォルト状態にしている。画像サイズを360pにして、ソフトウエアで最大にズームインした。こうすると画像センサーの物理的な画素と、いわゆる「ピクセル等倍」になるはずだ。

しかしこの動画は何だろう。土星であることは判るが、色が抜けてしまったようになっている。焦点が合っていないのかと何回も合わせ直したが、効果がない。大気の透明度とシーイングの悪さのせいにしてしまって良いのだろうか、と悩んでいると雲が出てきてしまい、今夜はこれでお仕舞いになった。眼視しておけばよかった、と思ったが、後の祭りである。

 

納得いかない土星

以前、5月6日にデジタル一眼を使ってアイピース拡大法で撮った写真がある。

Saturn20120506_3

ピクセル等倍だ。トリミング以外の後処理はしていないが、縞らしき模様やカッシーニの隙間の様に見えるものも写っている。同じ望遠鏡でこの程度に写ると言う実績があるので、前の動画はコンディションの違いでなければカメラのせいである。

私の口径65mmの蛍石アポクロマートでどこまで写るはずなのか、理論値のようなものを確かめておきたくなったので、鮮明な画像を元に口径から予想される分解能まで落としてみることにした。元にした画像は、ぐんま天文台の観察用望遠鏡で撮影されたものである。

3xsaturn_2

一番上が元画像。真ん中は、元画像の見かけの大きさが今回撮影したのと同じだと仮定し、口径65mmの回折限界に相当するエアリーディスクの二次元強度分布曲線でぼかしをかけたもの。一番下は、さらに今回撮影した画像の解像度に合わせて、土星本体の極方向の直径が約20画素になるようモザイク加工したものである。

書き忘れたが、今回撮影した土星は、動画も一眼レフのものも、極方向の直径が偶然両方とも約20画素になっている。

一番下の写真のモザイクが目立たなくなるまで離れて見ると、下2枚の写真は大差なく見えるはずだ。またそこから近づいて行っても、真ん中の写真で見えていなかった細部が見えて来ることはほとんど無いことに気付くだろう。一番下の写真ではドーズの分解能に相当する画像上の長さにモザイクが2つ以上割り当たっていて、サンプリング理論の条件を満たしているからだと考えられる。

以上から判るのは、今回動画を撮影した条件で充分望遠鏡の性能に見合った絵が撮れるはずである、と言うこと。倍率や画素数は言い訳にならない。また5月6日にデジタル一眼で撮った写真は、コンポジットやウェーブレット処理を全く行っていないことを考えると、そこそこ良く撮れていた様である。

 

今回のまとめ

IRカットフィルターは、目論見通りの効果を発揮している様だ。一時気にしていた波長850nm付近の近赤外線の影響は、私の取り越し苦労だった。

望遠鏡の分解能を考えると、今回利用したWebカメラは直焦点用にちょうど良い画素ピッチだったと言える。

Webカメラの天体写真用改造としては完了で、後は良いコンディションに恵まれるよう精進するだけだ。良いコンディションでも今回のような土星しか撮れないなら、C920は地上用に戻すしかないだろうな。

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