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2012年5月15日 (火)

Logicool C920天体改造

Webカメラを天体望遠鏡に付けられるように改造した事例を紹介する。これは、アイデアとしては8mmビデオだったハンディカムに望遠鏡を覗かせてみた頃からの懸案だ。

どのWebカメラを使うか迷った。製品の変遷が激しいので、現行世代で前例のあるものはほとんど無い。ならば前例を作ろうじゃあないか、と言うことで、世間で評判の高いLogicool® HD Pro Webcam C920を選んだ。

使うのが小口径望遠鏡なので、低光量の場合の感度が気になる。

/*******  *******/

改造前の感度チェック

売り物の1080Pで、4月3日にバクダン低気圧が通り過ぎた後、月の上を飛ぶように横切る雲を撮った。

月の真上より少し左側、大体11時の方向に火星が写っている!
こんなに小さなレンズで火星が写るとは、予想外の驚きだ。これは幸先良い、と喜んだのだが、これは少々勘違いだったことが後ほど判明するのであった・・・。

 

改造内容

最小限の改造で済ます方針で臨んだ。

  • レンズとクリップの取り外し
  • 31.7φスリーブの取り付け

レンズとクリップを取り外すには、分解する必要がある。C910の分解事例がインターネットにあり、外観から同じ様なものだろうとタカをくくっていたのだが、作りが全く変わっていて焦った。
ガラスのように見える前面の透明なプラスチックのパーツを外せれば、目的の部分に手が届きそうだ。押したり引いたり捻ったりしているうちに、最初に取り外せるのは左右のマイクロフォンのカバー部分以外に無さそうだと見極めを付けた。最悪、マイクロフォンカバーの部品を壊してしまうことを覚悟して、大胆にこじ開けたのが正解だったようだ。

 

レンズとクリップの取り外し

ステンレス製ものさしを隙間に差し込んでこじ開ける(普通のマイナスドライバーでは力が集中してしまい、プラスチックパーツが壊れると判断)。上側はツメが外れて抜けてくるが下側は噛合していて抜けないので、無理やり引きちぎった(写真右半分に破断面が見える)。

Shell_open

マイクロフォンカバーを外すと、片側4本、両側で8本のネジの頭が見える。内側の4本を外すと、透明なプラスチックのパーツ(実際は黒色のプラスチックと2層構造)が外れ、レンズがむき出しになる。
レンズはオートフォーカス用のボイスコイルモーターにねじ込まれているので、左に回せば外れる。

Loose_lens

レンズの左右にある4本のネジを外すとクリップが外れ、下に引き抜ける。
透明なパーツが入っていた部分から見える基板上に、カメラが動作中に光る青色チップLEDが4つ見える。私は放置したが、光を遮りたい場合は小さく切った黒色ビニールテープを貼る、などするのが良いだろう。

Disassembled

これで改造のための部品取り外しは完了だ。取り外したレンズの後端に、感度の波長特性を人間の眼に合わせるためのIR(赤外線)カットフィルターが付いているのが判る。

透明なプラスチックパーツとマイクロフォンのカバーを元に戻して、Webカメラ自体の改造はおしまい。

 

31.7φスリーブの取り付け

安価なBORGのアイピース延長筒【4611】を加工して、両面テープで貼り付けた。アイピースを差し込む方の太い部分に、Webカメラがちょうど入るような切込みを入れる。金鋸で少し小さめに切込みを入れ、鉄工用やすりで現物合わせする。この時、上下方向の中心が調整しておけるので、後で貼り付けるときの中心合わせが楽になる。下側については、カメラの平坦な部分に合わせて短くカットする。

Sleeve

延長筒とカメラの間に白く見えるのは両面テープのスポンジ状の素材。内側は黒色の油性フェルトペンで塗っておいた(気休め)。
カメラ上下にかぶった延長筒の太い部分は、何かの拍子に引っ掛けて壊してしまうおそれがあるので、黒色のビニールテープで保護しておく。これは延長筒とカメラの接合を補強する意味もある。

これで改造完了。

Done
改造前よりもカメラらしく見えるから不思議。
31.7φスリーブの外側には盛大に指紋がついているが、内側にうっかりつけてしまう心配はほとんど無い。

 

望遠鏡側の準備

私の古い望遠鏡のアイピースは24.5φのツァイスサイズなので、このままではWebカメラを取り付けられない。またアイピースによる拡大撮影もやりたかったので、ビクセンの42T→31.7AD SXを準備した。

42t317ad_sx

このパーツは比較的安価で容易に入手できる上、カメラのマウントアダプターと同じ場所に取り付けることができるので、実に便利である。Webカメラの代わりにアメリカンサイズのアイピースを差し込めば、目的天体の導入が容易にできる。手持ちにはツァイスサイズしかなかったので、この機会に安価な31.7φアイピースを買い求めた。

見え方は値段相応である。

差込長さを調整して同焦点アイピースにできたら良かったのだが、Webカメラの光路長が中途半端になってしまい、アイピース先端のフィルターネジにねじ込む方式の延長筒が必要だが入手できなかったので、カメラの焦点合わせはコンピュータの画面を見ながら行っている。同焦点アイピースがあったとしても、最終的な焦点合わせは画面を見ながら行だろうから電動フォーカサーが欲しくなるが、口径65mmの小さな望遠鏡には少々不釣り合いだ。

今は目的の天体を視野に導入して焦点合わせを行っているが、明るい恒星でカメラの焦点合わせを行った後、目的の天体を導入した方が正確に焦点を合わせられるのかもしれない。この手順だと、カメラをアイピースに差し替えて導入する際、アイピースをネジで固定せずに抜き差しを手加減してピントを合わせる必要があるが、何とかなるだろう。

 

ファーストライト

アイピース拡大法の合成焦点距離約1,400mmで撮影した、4月12日の金星である。

本来大気の分散でフランス国旗のように色付いて見えるのだが、ほとんどそれが無い。また少し白く滲んで見え、上下より左右が顕著だ。これはIRカットフィルターが無くなってしまったため、赤外線の影響が強く出ているのだと考えられる。

 

今回のまとめ

少々乱暴なやり方だったが、無事改造することができた。マイクロフォンカバーの固定が甘くなるが、通常の使用で外れてしまうことは無い。Webカメラの機能を全て温存しているので、必要なら機能的に元の状態に戻すことも可能である。

レンズに付いていたIRカットフィルターが無くなってしまったことで、色合いや画像のキレに悪影響が出ている。当面手持ちのIDAS LPS-P1光害防止フィルターで代用する予定だが、撮影後にどう調整しても色合いに不自然さが残ってしまう。かと言って天体用のIRカットフィルターは、同じWebカメラをもう1台買ってお釣りが来るくらい高価だ。ジャンクのデジタルカメラから調達するのが一番安あがりかもしれない。要検討。

今後使ってみた結果を報告できると思う。自然が相手なので天候など思うに任せない部分が多々あり、時間がかかりそうだ。カメラの性能を評価しているつもりで、結局私のウデが評価される結果になりそうでもある。

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コメント

この記事につられC920改造を試みました。
レンズとクリップの取り外し
のところマイクの真下に当たる部分ゴムシートの下に黒いプラスチックシートがあり、さらにその下に皿ネジ2本ずつ
計4本が隠されていました。
最初わからず ミニルーターで無理矢理切断しましたが・・・
青色LED相変わらず接着剤で止めた上でハンダがしてあり 外すのをあきらめました
以上報告まで

投稿: まっくん | 2012年5月29日 (火) 00時07分

まっくん さん、

ご報告ありがとうございます。
かなり大規模な改造に挑戦されたみたいですね。
私も最初はマイクロフォン周りも分解しようと思ったのですが、無理そうなので分解しなくても済む改造方法にしました。

投稿: エンジニア | 2012年5月29日 (火) 10時20分

ここを見て、C920を分解してみました。大変助かりました。
しかし・・最後のレンズが左に回らず外れません。

どれくらいの力がいるのでしょうか。
手で回して外すのは無理な程でしょうか?

投稿: デジもん | 2012年11月22日 (木) 16時36分

デジもん さん、
レンズを外すときの力加減、ですか・・・
簡単に手で回せるほど緩くなかったと思います。ピンセットか、もしかするとラジオペンチを使ったかもしれません。
記憶が頼りなので、正確ではないです。ただし、復元できないような壊れ方をするかもしれないと思わなかったのは確かです。
この辺の感じ方には個人差があると思いますし、製品の個体差や固定方法の変更も考えられますので、的確なアドバイスには程遠いかもしれません。
あしからず

投稿: エンジニア | 2012年11月22日 (木) 17時03分

お返事ありがとうございます!
ラジオペンチで回してみたところ、あっさり外れました。
ありがとうございました!!

最初は指で回そうとしていたのですが、前後運動が加わるのでコイルに悪影響が出そうでした。
大変助かりましたhappy02

投稿: デジもん | 2012年11月28日 (水) 20時18分

デジもん さん、
うまくいって良かったです。
なるほど、オートフォーカス用のボイスコイルモーターが動いちゃうのは不安になりますよね。

投稿: エンジニア | 2012年11月28日 (水) 21時34分

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