Logicool® HD Pro Webcam C920の画角とズームを確認する
今まで「360pで最大にズームインすると、画素センサーの物理画素とピクセル等倍になる」と思い込んでいたが、これに対する疑いが生じた。以前同じ被写体を写し比べて確認したつもりだったが、前回の土星の写り具合を見ると「ちょっと待てよ」と言う気持ちになる。
本当なら、こう言う事はもっと早くやっておくべきだったが、夜晴れているとどうしても天体撮影優先になってしまう。今夜は晴れそうにないので、遅まきながら確認してみることにした。
/******* *******/
被写体とセットアップ
タテ・ヨコ等間隔の目盛りがコントラスト良く写る被写体が必要だ。真っ先に思い浮かぶのは方眼紙だが、今回の被写体はライトボックスに貼り付けた2.54mmピッチの蛇の目基板を選んだ。この方が高いコントラストを得られるだろう、と言う狙いである。
これを、35mmフィルムカメラの50mm標準レンズの後ろにWebカメラを取り付け、約1mの距離から撮影した。
レンズの後ろにはマウント側用のレンズキャップに穴を明けたものを被せ、その更に後ろに改造したWebカメラをマスキングテープで貼り付けた。このレンズキャップは、以前長焦点のカメラレンズとアイピースで望遠鏡にしようと思い、ツァイスサイズの穴を明けたまま放っておいたものだ。この状態でカメラのフランジバックよりも光路が少し長くなってしまうが、近くの被写体に焦点を合わせる分には支障無い。
レンズの一番太い部分を、巻かれているビニールテープの上に載せるとちょうど具合良く位置が調整できた。
画像の取得は、360p、480p、720p、および1080pについてLogicool純正の「クイックキャプチャ」で動画をキャプチャーし、それをVLC media playerで再生中にスナップショットを取った。2304x1536モードは汎用キャプチャーソフトウエアAMCapを使うつもりだったが動作が不安定になる現象が発生したため、VideoCaptureおよびPyGameモジュールを利用してPythonで書いたプログラムを利用した。
完全にズームアウトした時の画角
画像センサーの基礎情報を話題にしたとき「1080pモードと2304x1296モードで画角は同じに見える」で済ませてしまったのを、後追いだが確認しておく。2304x1536、1080p、および360pの画像を全て幅320画素にリサイズし、横幅を比較できるよう縦に並べてみた。
おっと、微妙に違う。以前行った月の画像の大きさから割り出した画素ピッチの議論に大きな影響を及ぼすほどでは無さそうなので、先ずは一安心だが・・・。
細かく見ると1080p > 360p > 2304x1530だが、なぜこうなるか良く判らない。大まかな議論なら、画角は「ほぼ同じ」と言えるのではないだろうか。
最大にズームインした時の比較
Webカメラからキャプチャーできる最大サイズ2304x1536の画像の上に、1080pで最大にズームインした画像(緑枠)、および360pで最大にズームインした画像(黄枠)を重ねてみた。2304x1536が物理画素とピクセル等倍である保証は無いが、これは前提として信じることにしよう。
基板の穴のピッチを比べると、1080pは最大にズームインした状態で2304x1536の画像をトリミングしたようになっていることが判る。基板のランドの外径が違うように見えるのは圧縮方式の違いの影響が疑われるが、正確な原因は判らない。なお「最大にズームイン」言っても、Logicool純正ツールからだと1080pは1段階しかズームできない。
問題の360pの画像は、いやな予感が的中した。この画像で見ると、2304x1536をトリミングしたのに比べ寸法で約1.1倍、面積で約1.2倍程度に拡大されている。
360pでピクセル等倍になる条件
360pで最大にズームした状態から1段階ずつズームアウトした画像を、上と同様に2304x1536画像に重ねてみた。
最大にズームインした状態から2段階ズームアウトすると、ピクセル等倍になるようである。
これは意味のあることなのか?
ここで「私はいったい何をやっているのだろう」と気付いた。今まで調べていたのは出力される動画上の像の大きさが同じになる条件である、と言うこと。そうなっていれば画質の低下が最も少ないだろうと考えたのだが、これは必ずしも正しくない。一旦小さなサイズに縮小された後、補間計算で拡大されていたなら、画質は最も小さなサイズになった時のままである。
ちゃんと確認するしかないのだろうなぁ
理屈をあーだ・こーだ言っていても、実際に満足できる絵が撮れなければどうしようも無いのだ。適切な被写体を選んで、同じ条件で写し比べるべきである。毎晩同じ時刻に同じような場所に在る土星が良いだろう。うまく行けばリベンジにもなる。月は毎日居場所が変わるので、良いチャンスは案外少ない。
調べてみると、純正環境で撮影した3.0MPフォトが2304x1296で、このWebカメラで最善の絵が取れると「信じている」ピクセル等倍の条件になっている。従って、以下3ケースについて、画質を撮り比べてみるのが良さそうだ。
- 360pでいっぱいにズームインした動画から取り出した静止画
- 360pでいっぱいにズームインして2段階戻して撮った動画から取り出した静止画
- 3.0MPフォトから640x360画素にトリミングした静止画
この時忘れずに充分眼視もしておきたいが、梅雨入り間近で、長時間安定して晴れた夜に恵まれるかどうか、もうこれは祈るしかない。
画質の比較で、想定される結果は以下の通り。
- 1 ≪ 2 ≒ 3:拡大すると画質が劣化するが、360pでもピクセル等倍なら画質の劣化は無い、という当初の想定通り
- 1 ≪ 2 ≪ 3または1 ≒ 2 ≪ 3: 360pにした時点である程度画質が劣化してしまう、という懸念が当たった場合
- 1 ≒ 2 ≒ 3:拡大すること、および360pにすることに伴う画質の劣化は無い、これがこのカメラの実力、という結構厳しい結果
今回のまとめ
目見当は意外と正確な場合がある。例えば、掛け時計が少し傾いているようだと気づくときの傾きは、せいぜい1°位のものである。これは天井の縁や窓枠など、掛け時計以外のもの全てが平行か垂直になっている中で、一つだけ「浮いている」からだろう。
しかし何か2つのものの大きさを比べる場合、「同じはず」という先入観があったら、10%くらいの違いは見逃しても不思議ではないのかもしれない。
先入観や予断を持ったり思い込んだりするのは、決して悪くない。多分、人類はそうやって長い期間有利に進化してきたのだと思う。重要なのは、違和感を感じたとき放置せず、ちゃんと確かめることだろう。
| 固定リンク
「趣味」カテゴリの記事
- カメラのファインダーについて考える(2016.02.29)
- 空間フィルターを使った天体写真の画質改善(2015.01.22)
- 水星と金星のランデブー(2015.01.10)
- カメラのノイズと解像感(2015.01.09)
- Fujifilm X-M1 とそのアクセサリー(2014.12.14)
「自然」カテゴリの記事
- 水星と金星のランデブー(2015.01.10)
- 光当たる人工光合成(2014.01.07)
- 天体改造C920:土星でテスト(2012.06.17)
- 天体改造C920: 地上の風景で画質確認(2012.06.05)
- Logicool® HD Pro Webcam C920の画角とズームを確認する(2012.06.01)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント