ダイニングにLEDシーリングライト導入
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この機会に...
家の構造や隣家との位置関係からダイニングは採光が悪く、昼間でも照明を使う機会が多い。この照明器具は間違いなく家中で一番長時間点灯している。この器具を使い始めて10年になるが、今回は3回目、もしかすると4回目のランプ交換である。今まで使っていたのは定格寿命12,000時間の蛍光ランプだったので、毎日10時間程度と考えるとつじつまが合う。
蛍光ランプは2本で2千円台半ばである。
LEDの照明器具は割高との印象を持っていたが、今回調べてみてビックリ。ずいぶん安くなっている。一番安いものなら蛍光ランプ3セット分くらいの予算で賄える価格だ(2014/5/14現在)。
点灯時間が長いほどLED化による節電効果が高いから、今回蛍光ランプを交換することを選ぶ必然性は無いようだ。
機種選定
8畳のダイニングである。今までの蛍光ランプの器具と同じ使い方ができればよいので、特別な付加機能は要らない。原則壁スイッチだけの操作に限りたいので、常時リモコンが無いと使えないような機種はダメである。従って最もシンプルで安い価格帯の機種から選ぶことになる。
外せない要件は電球色であること。これが意外と難題だった。調色機能は要らないのだが、光色が固定で電球色の製品が少ない。探せばあるのだが、割高だったり納期が長かったりする。
どうやらこう言うことらしい。少し前まで最低価格帯は昼白色固定の製品に限られ、電球色が出せるのは調色機能を備えた比較的高価な製品だけだった。ほとんどのメーカーはこのような製品戦略を取っていたが、NECは光色が電球色固定の製品も出していた、と言うことではないだろうか。
最近はエントリークラスの製品でも調光+調色(昼光色~昼白色~電球色)機能を備えるのが標準になっているようだ。多くのメーカーの製品がこのような仕様に収れんしている。そう言うことならそれで良い。主流の製品が、結局コストパフォーマンスに最も優れていることが多く、照明器具はその範疇に入るだろうから、そのような製品から選ぶことにしよう。
今回NEC、東芝、Panasonicおよび日立の製品を比べてみた。
取説(NEC、東芝、Panasonic、日立)で比較して気になったのは調色した時の明るさだ。調色機能を安価に実現するため昼白色に比べ昼光色と電球色が暗くなるのは仕方がないのだが、その比率が製品によって異なる。Panasonicと日立は昼光色と電球色どちらも昼白色の50%だが、NECは昼光色70%に対して電球色30%。東芝はこの種の情報が見つからず不明である。
電球色を常用するのでNECの製品は対象外とせざるを得ない。また東芝の製品も、他に特に選ぶべき理由がない限り敬遠した方が無難だ。
意外と盲点ではないかと思ったのが保証条件の違いだ。今回候補にしたすべての会社がLED電源と光源部分について5年保証としているのは同じである。これは東芝が一昨年打ち出して先行していたが、昨年秋~暮れに横並びになった。違いはPanasonicが取説に「保証期間中は、保証の規定に従って出張修理いたします」と明記しているのに対し、日立はカタログに「出張修理をご希望の場合には、出張に要する実費を申し受けます」と、また東芝はホームページに「出張修理を行った場合には出張に要する実費を申し受けます」と記載している点である。NECではこの種の記述を見つけられなかった。
シーリングライトは修理のために持ち込みできるかどうか、かなり微妙なところではないだろうか。どうしても持ち込みが難しい状況もあるだろう。出張費用は少なくとも数千円はかかるはずだ。少し足せば新品が買える。出張費用の実費を取られるなら、実質的に保証が無いのと同じである。
結局Panasonicの製品にしたのだが、決め手は近くの量販店に在庫があったからだったりする。
使用感 -- 明るさ
今まで使っていた蛍光ランプの器具と比べると、昼白色、つまり全灯状態なら十分明るいが、電球色だとちょっと微妙だ。
光源種類 | 設定 | 照度 [Lux] |
---|---|---|
LED | 全灯 | 515 |
電球色 | 252 | |
蛍光ランプ | 全灯 | 497 |
省エネ | 350 |
手持ちのDMMに照度計機能があるので、それを使って測った数値である。
CIEの標準比視感度に合うようフィルターが入っていて、正確度(Accuracy)は±(5%+10digits)となっている。つまり真の値が200Luxの場合180~220と表示され、100Luxでは85~115となるはずである。おおまかな比較に使うには十分だと思う。
LEDは設置した照明器具直下のダイニングテーブル上の照度を測った。蛍光ランプは、別の部屋に取り付けてある同型の器具について、ダイニングテーブルの場合と条件をそろえて測った。可能な限り条件が同じになるようにしたが、照度計の正確さよりも条件が揃えきれない影響の方が大きいかもしれない。また蛍光ランプの器具は普段ほとんど使っていないので明るさの低下はさほどないと考えられるが、それでも90%程度になっているかもしれない。
今までシーリングライトは「省エネ」設定で使っていたから、その値350Luxが基準になる。ただしそれでも若干明る過ぎると感じていた。
LEDシーリングライトを全灯設定で使えば文句なく明るい。しかしこれは光色が昼白色である。電球色にするとLEDの方が蛍光ランプの省エネよりも暗くなるが、体感的にはちょうどよい明るさだ。問題はLEDシーリングライトは新品だ、と言うこと。これから使っていくと明るさが低下する。寿命直前の70%に近づくにつれて暗いと感じる場合があるかもしれない。昼白色方向に調整して明るさを補うことは可能だが、光色の違いを我慢できるかどうか。これはそうなった時に対策を考えることにしよう。
使用感 -- 調光・調色機能
一度設定してしまえば動かす予定のない機能だが、どうなっているか興味があったので少し詳しく調べてみた。
調光・調色の仕組みは昼光色および電球色のLEDが60個ずつ使われていて、それぞれ独立して明るさが調整できるようになっている。これは予想した通りだ。下の写真は30%程度の明るさに調光して、左から昼光色・昼白色・電球色に調色した状況を並べている。
この製品では昼光色LEDの色温度が6,500K、電球色が3,000Kである。この組み合わせだと昼光色と電球色の比率50:50で昼白色になるが、もっと赤みの強い色温度2,700Kの電球色LEDを使った場合70:30で昼白色になる、と言うことらしい。
最小のコストでできるだけ大きな最大光束を目標に設計すれば、必然的に昼白色が最も明るくなる。
調光が最も明るくなるようにしながら調色を変えた場合の、昼光色と電球色のLEDの発光量の制御状況を模式的に表したものである。これは3,000Kの電球色LEDの場合だが、2,700Kの場合も似たような図になる。
どちらも推定に基づくものだが、調光・調色とも発光能力の一部を使わないよう制御する以外の方法があるとは思えないので、概ね正しいはずである。
しかし余計なコストをかければ調色しても明るさが変わらないようにできる。
器具の最大光束を賄うのに最低限必要な発光能力の2倍を準備しておいて、常に半分しか使わない、と言う戦略である。この場合LEDのコストはほぼ2倍になるが、電源回路や放熱関係はあまりコストを増やさずに済ませられる可能性がある。実際このような造りになっているのではないかと思われる製品があり、売値はエントリークラスの製品の2倍を超えるから利益率の良い商品なのかもしれない。
なお2,700Kの電球色LEDを使った製品の場合も、昼白色の位置が左にずれることを除き、上の図と同じになるはずである。
さて今回買った製品の調光・調色機能で調整できる範囲は、基本的に最初の調色制御の模式化図と同じだが、改めて図にすると以下のようになる。
野球のホームベースのような図形の内側が調整可能な範囲である。「全灯」ボタンを押すとてっぺんにジャンプする。
気になるのが、調光が50%を超える領域で調色を変化させた時の挙動だ。照度を測りながら実際に操作してみた結果を概念的な図にすると、どうやら以下のようになっているらしい。
調色を行っている間、調色を始めた時点、図に「スタート」と記入したポイントの調光状態を維持するように動く様である。屋根に当たって維持できなくなると屋根に沿って動く。ここで更に気になるのが、たとえば最も電球色になった状態で調色ボタンを離し、調光ボタンを10%分下げるように押したらどうなるか、である。
この場合維持すべき調光状態は「スタート」から10%下がった値ではなく40%になる。こうやって図にしてみると、これが一番自然な動きなのかなと思えるが、仕組みを作る立場になって考えると結構トリッキーだ。
上の例で調光ボタンを上げるように押すと維持すべき調光状態は50%になる。つまり調光ボタンが押された時、現在の内部的な「維持すべき調光状態」ではなく出力している調光状態を初期値として、ボタン操作に応じた新しい「維持すべき調光状態」が設定される様に造られているらしい。
この製品の場合、調光も調色も無段階に調整できる事になっている。変化量がボタンを押した時間に比例している感じだ。実際内部的には32段階とか64段階で管理しているはずだが、好きなだけ細かく調整できるような印象を与える。しかしこれだと困ることがある。たとえば電球色と昼白色のちょうど中間の光色に調色しようとすると、これができない。変化を目で見ていいと思うように調整すれば良いのだと割り切れば実害はないのだが、どうも気持ちが悪い。1回押す毎に一定量、たとえばフルスケールの1/20ずつ変化する段階調整で良かったのではないか。20段階あれば粗すぎて困ることは無いと思うし、回数を数えながら押せば意図した設定ができたと思える。また長押しで段階的変化をリピートさせるのは簡単だろう。まぁ普段ほとんど使う予定のない機能に注文を付けるのもなんだが。
次回予告
どのくらい省エネ・電気代節約になりそうか、測定してみた結果を次回の記事にしようと思っている。
今回のまとめ
エントリークラスのLEDシーリングライトは、機能・価格ともにあるべき水準に落ち着いたと言えそうである。価格はまだ下がるかもしれないが、今の半額になるとは考えにくいから、そろそろ買い時だろう。
しかし電球色で常用するのは明るさの点で不安が残る。今後光量低下が我慢できなくなった場合、多少高価でも電球色での明るさが確保できる上級機種か、あるいはエントリークラスで1サイズ大きな製品に切り替える必要がありそうだ。
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コメント
パナソニックのLEDシーリングライトの購入を考えています。
気になったのですが、一番電球色の状態で調光ボタンで明るさを上げるとどうなるのでしょうか。
明るさが上がると同時に色も昼白色になっていくのでしょうか。
投稿: y | 2017年5月29日 (月) 00時12分
yさん、
調光ボタンを操作しても調色の状態が変化することはありません。
ご質問への答えは"No"です。調光ボタンで明るさを上げると電球色で出せる一番明るい状態、50%で止まります。
なおこれは私が買った製品 (Panasonic HH-LC564A) に関するものですが、この製品は生産終了になってしまいました。
今入手するのは困難だと思います。
現在のPanasonic製品では動作が変わっているかもしれませんね。
できれば購入候補の製品を店頭で試されるのがよろしいと思います。
投稿: エンジニア | 2017年5月29日 (月) 00時57分
調色ボタンを押して、電球色(または昼光色)よりに変えたとき、図でいう「屋根」に当たると明るさが下がる。
しかし、調光ボタンを押して明るさを変えるときは、色が変わることはないということですね。
細かいことですが答えていただきありがとうございました。
気になっていたことが分かりました。
投稿: y | 2017年5月29日 (月) 23時04分