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2014年6月14日 (土)

PSUが壊れた・・・

家電の故障は続くとよく言われるが、コンピューターのパーツにも同じことが言えるらしい。今度はPSU (電源ユニット) が壊れた。

Failed_psu

約10年使ったPSUである。本来ならとっくに交換していなければいけなかったのかもしれない。

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キッカケはディスクのホットプラグの問題

Before/Afterで考えると色々と兆候はあったのだが、問題に気付いたのはディスクをホットプラグするとWindowsがブラックアウトする現象に遭遇したからである。

オフラインバックアップのメディアに使うディスクをホットスワップするため簡易なリムーバブルケースを使っている。

実際に使っているのは、機能的に上のものと同じだがもう売られていない製品である。数年以上何の問題もなく使っていたのだが、ディスクをホットプラグすると画面が真っ暗になったまま回復しない現象が発生した。ディスクを認識するときの音はするが、結局電源ボタンで強制OFFする以外に何もできない。

違うディスクを試すとブラックアウトしないものもある。ディスクとの相性?最近ディスクのインターフェイス廻りを変えているので、まずそれを疑った。しかし調べていくうちに衝撃的な事実に直面した。

SATAケーブルを外してホットプラグしてもブラックアウトするのだ。こりゃあ電源だぁ…。

ホットプラグでブラックアウトした時の+12Vレイルの電圧変化を見るとかなり暴れている。

12v_bad

問題を起こしているのがいつもGPIB経由でスクリーンショットを取るのに使っているコンピューターのPSUなので写真である。フレーミングが一定でないのは、オシロスコープの設置場所との関係で三脚を立てられなくて手持ちせざるを得ないためである。お見苦しい点、ご容赦願いたい。

+12Vレイルは、電圧許容偏差は±5%でリップルは最大120mV p-p だから11.34~12.66Vの範囲でなければならないが、完全にそれを逸脱してる。また時間軸は1μs/divなのでかなり短いタイムスケールの現象である。一言で片づけるとPSUのロードレギュレーションが悪いのだが、これほど短い時間だと元々フィードバックでは対処できるはずがない。+12Vレイルの出口に入っている電解コンデンサーが干からびて容量低下を起こしている可能性が高い。

ただ同じくらい暴れていてもブラックアウトしないケースも見つかった。

12v_no_blackout

どうやら高い周波数、おそらく10MHz位の成分の振幅、と言うか立下りの速さがブラックアウトするかどうか決めているように見える。ブラックアウトした時に何が起こっているか調べたい気持ちはあるが、これだけ+12Vレイルが暴れていると何があっても不思議ではない。交換するPSUの機種選定を急ごう。このコンピューターが使えないと困ることが多いのだ。

 

電力変換効率の高いPSUにしよう

今まで公称定格460WのPSUで電力容量に不足を感じたことは無かった。なので、少し余裕を見て500WクラスのPSUから選ぶことにした。価格比較を見ると安いものは3千円台からある。初め基本性能が確保できれば安い方が良いと思ったのだが、いや、待てよ、このコンピューターはアイドル状態でも100W近くの電力を消費するはずだ。電力変換効率が10%違うと大体10Wくらいの消費電力の差になる。電力変換効率の高いPSUにすれば、多少高くても電気代節約で元が取れてお釣りが来るのではないか、と言うことに気付いた。

調べてみて驚いたのだが、古いATXマザーボード規格 (Version 2.02) 用のPSUデザインガイド (Version 0.9) によれば、PSUの効率は負荷率100%で68%以上あれば良いことになっている。つまり500WのPSUがフル出力の時最大235W発熱で失われる可能性がある (消費電力は735W)。またEnergy Starの条件は負荷率15%で効率56%以上、つまりPSU出力75Wの時最大59W発熱で失われる可能性がある (消費電力は134W)。電熱器みたいなPSUだね。これでもEnergy Starとは、古いアメ車 (もしかすると今も?) を彷彿とさせる規格だ。

古い常識ではPSUの効率は負荷率100%の時が一番良くて、負荷率の低下とともに効率も下がって当然、と考えられていたはずだ。今回の想定負荷率20%だから、古い規格のPSUだと効率60%程度だったとしても文句は言えない。最近の80PLUS PLATINUMだと負荷率20%で効率90%以上だから、その差実に30%である。

これなら電気代節約でプラス一万円の元を取ることも夢ではない。

 

ペリフェラルコネクター

現状、古いPSUに合わせて4P Molexコネクター、日本で通称HDD (4Pin) と呼ばれているコネクターを多用する構成になっている。しかしワット数が相当大きいか設計の古いPSUでないと、買ってきたままの状態で今までと同じように使うのは無理だ。接続方法を見直し、SATA→Molexの変換ケーブルを使うことも考慮して必要な4P Molexコネクター数を減らす様にした。

しかしコネクターの種類と数だけでなく、1本のケーブルに数珠つなぎになったコネクターの組み合わせ情報が欲しい。この組み合わせ次第では届かなくて使えないコネクターが出て不足してしまうからだ。ここまでの情報が事前に分からないと自信を持ってPSUを選ぶのは難しいと思う。通販なら絶対だが、実店舗でもパッケージを開けて中身を確認させてもらった挙句、何も買わずに気兼ねなく帰れるお店はそんなに多くないからね。不本意な製品を買わざるを得ない状況に陥りたくはない。しかし実際にインターネットに情報公開しているベンダーは全体の半分くらい。情報公開していないベンダーの製品は購入対象にならない。

 

機種選定

選択肢はそんなに広くないので割合と簡単に候補は絞ることができた。最後に残ったのがセンチュリーから出ているSuper Flower SF-500P14FGと玄人志向のKRPW-PT500W/92+ REV2.0だ。

   

「いつかはファンレス電源」みたいな憧れがあったから、少し高いけどこの際買っちゃおうか、と心が揺れた。しかしふと我に返って考えると、今まで電源ファンの音に気付いたことがない。それ以外のファンやディスクの回転音の方がはるかに大きい。ファンレスは見送りだな。玄人志向のKRPW-PT500W/92+ REV2.0に決めた。

流通大手の実店舗でも実質1万円前後で買える。

このPSUの唯一不満な点はAC側のスイッチが省略されていること。+5VSBが供給されている可能性のあるパーツでを交換する場合など、PSUのスイッチを切るのが手軽でよいと思っているのだが、まあいい、電源コードを抜けば済む話だ。

 

交換後

ディスクをホットプラグした時のブラックアウト現象は起きなくなった。

12v_after

外したPSUの中をのぞくと頭に電解液がにじんだコンデンサーが見える (4,700μF 16Vか?)。

Failed_cap

事前の見立て通りの様だ。このコンデンサーを交換すれば問題なく使えるようになるだろう。ただし他のレイルのコンデンサーもかなりへったって来ているはずだから、どうせやるなら各レイルの出口に入っているコンデンサーを全部交換する方が結局手間が少なくて済みそうである。時間のある時に修理して、緊急補修用スペアパーツとして置いておくことにしよう。

当初の問題が解決しただけでなく、以前からあった以下のような訳のわからない不具合も解消した。

  • スリープから回復時の問題: 「前回システム電源の切り替え時にプラットフォーム ファームウェアによってメモリが破損しました」と言うイベントが記録されるのでスリープを使わないようにしていたのだが、これが出なくなってスリープが使えるようになった。
  • BIOS設定変更時の挙動不審: メモリーやCPU周りのタイミングや電圧設定を (確実に問題のない範囲で) 変えた時に、オーバークロックを失敗した場合のような感じで再起動を繰り返す現象がなくなった。

どちらもPSUの立ち上がりが不安定だったと考えれば腑に落ちる話だ。ハードウエアのトラブル時は現象が非論理的で訳のわからない状態になりやすい。PSUはその最たるものである。

 

省エネ効果

AC100Vの入力電流をPSU交換の前後で測った。KRPW-PT500W/92+ REV2.0を買った後、交換直前に実施している。

状態 入力電流 [A]
交換前 スタンバイ 0.07
アイドリング 1.05
交換後 スタンバイ 0.09
アイドリング 0.85

「スタンバイ」はコンピューターをシャットダウンした状態である。新しいPSUの方が0.02A入力電流が多いが、使っていないときはコンセント側のスイッチを切るようにしているので影響は無視できる。

「アイドリング」はコンピューターの起動が完了し、画面を表示しているが特に負荷になる処理を実行していない状態だ。デスクトップの場合この状態で過ごしている時間が大半を占めるはずである。

交換後のPSUは80PLUS認定試験成績書から負荷率10%、20%、50%および100%の力率と効率が分かる。この負荷率10%と20%の数値に基づき今回測ったアイドリング時の入力電流0.85Aに相当する値を補間によって求めると、力率0.972および効率91.5%が得られる。これを用いてアイドリング時のPSU出力電力が計算できる。

     100[V] × 0.85[A] × 0.972[W/VA] × 91.5[%] ÷ 100[%/1] = 75.6[W]

この数字は交換前のPSUでも同じである。交換前のPSUの力率は交換後のものと同じと仮定して交換前PSUの効率を推定する。

     75.6[W] ÷ (100[V] × 1.05[A] × 0.972[W/VA]) × 100[%/1] = 74.1[%]

今売られているPSUはほぼすべて80PLUS認定である。その最低線80PLUS STANDARDでも負荷率20%、50%および100%で効率80%以上が認定基準なので、どのPSUを買っても交換前のPSUを超える効率になるはずだ。ペリフェラル用電源のケーブルの要件を満たす一番安い電源を探すとKRPW-SS500W/85+ (玄人志向) が見つかった。実売価格は約6千円だ (Amazonはもっと安いが実店舗で入手したKRPW-PT500W/92+ REV2.0に条件を合わせた場合)。

PSUを交換したことで削減された消費電力は約19Wである。しかし今回KRPW-SS500W/85+を選択することもできた。KRPW-SS500W/85+の80PLUS認定試験成績書を参照するとアイドリング条件の効率を約82%と推定できる。これに基づくと、このPSUを買った場合を基準にした消費電力削減の推定値は約10Wである。意外と僅差だ。

電気料金を30\/kWhとすると、10,000時間使った場合のKRPW-SS500W/85+とKRPW-PT500W/92+ REV2.0の電気代の差は\3,000だ。価格差\4,000の元を取るには13,333時間使う必要がある。サーバーとして毎日24時間動かしているなら約1年半だが、デスクトップとして毎日使っても4年以上かかる。う~ん、「電気代節約でプラス一万円の元を取る」のは夢ではないが気の長い話だ。

 

今回のまとめ

ハードウエアの問題が疑われる原因不明の不調に陥った時、もし5年以上今のPSUを使っているなら「良く分からないが試しにPSUを交換して様子を見る」決断はアリだと思う。

新たに買うPSUはあまり長持ちしない、または今後電気料金は値上がりしない、あるいはその両方だと思うなら、80PLUS STANDARDまたはBRONZEのPSUを買うのが良いだろう。逆に新たに買うPSUは長持ちする、または今後電気料金は値上がりする、あるいはその両方だと思うなら80PLUS PLATINUMのPSUを買った方が得をする可能性がある。

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