壊れたPSUの修理準備
以前記事にした壊れたPSU (電源ユニット)、修理に使う部品を手配するため分解して内部を点検した。
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予想通り電解コンデンサーの劣化が進んでいた
カバーが固着していたのを外すのに少し手間取ったのを除くと、割と簡単に基盤を取り出すことができた。冷却ファンとAC電源のコネクターを外せば基盤が丸ごと取り出せる。
各出力レイルに入っているコンデンサーが分かるようにラベル付けしておいた。+3.3Vと+5VSBは2つずつコンデンサーが入っていて、間にコイルをはさんだπ型フィルターを形成している。また+3.3Vのトランスに近い側には他のものと異なる、「Gold」ナントカとマーキングさた (おそらく高性能) 品種が使われている。
+5Vレイルにもコンデンサーが2つ入っているが、こちらは単純に並列になっているだけだ。
目視で確認できた状況と対応は以下のとおりである。
出力レイル | コンデンサー | 劣化症状 | 対応 |
---|---|---|---|
+5VSB | 2x 2,200μF 10V | 電解液漏れ | 交換 |
+3.3V | 3,300μF 10V | なし | 交換しない (本文参照) |
6,800μF 10V | 電解液漏れ | 交換 | |
+12V | 4,700μF 16V | 電解液漏れ | 交換 |
+5V | 4,700μF 10V (奥) | なし | 交換 (本文参照) |
4,700μF 10V (手前) | 頭部膨らみ | 交換 | |
-5V | 220μF 16V | なし | 交換しない (本文参照) |
-12V | 220μF 16V | なし | 交換しない (本文参照) |
対応について
劣化症状の認められたコンデンサーは全て交換することにした。これについて特に説明は要らないだろう。
劣化症状の認められなかったコンデンサーのうち+5Vレイルのものだけ交換することにしたが、これは部品手配の都合である。最少注文数量が5だったから、部品を余らせても他に使い道が無いので、両方とも交換することにしたのだ。
できれば+3.3Vの3,300μFも交換した方が良いかと思ったのだが、今使われているのと静電容量と耐電圧が同じで、外形寸法が同じかもっと小さい部品が入手できなかった。外形寸法が一回り大きな部品はあるのだが、とても収まりそうにない。外形寸法と耐電圧が同じで静電容量が小さい部品もあるが、最少注文数量5で部品代は500円を超える。それなら今付いている部品はまだしばらく大丈夫そうなのでそのままにしておこう、と言う判断だ。
部品の手配
真空管の時代は、電解コンデンサーは静電容量と耐電圧が同じなら良かった。中には長持ちしないブランドがあることを経験的に知っていたが、不良品でない限り少なくとも最初の1日で壊れるようなことにはならなかった。
今日、電解コンデンサーの品種は驚くほど多い。その上コンピューターのPSUやマザーボードに使う電解コンデンサーの場合、選択を誤ると良品でも通電して数分の内にパンクしないとも限らないから厄介である。
秋葉原のお店で、限られた店頭在庫の中に必要な仕様を満たしたものがあるか探すのは、これまた厄介な作業だ。確信が無くても二度手間を避けるためにリスクを取って買ってしまうこともあるが、大概は後悔する結果が待っている。従って、じっくり仕様を確認しながら注文できる通販にどうしても流れてしまう。
今回は、と言うか、今回もRS Onlineを使った。電子部品の通販をそんなに頻繁に使うわけではないので、使うときは毎回何か変わっていないか色々な通販サイトを比較してみるのだが、結局ここが私には使いやすい。ただし注文した品目のうちの半分は「イギリス在庫 通常4営業日でお届け」だ。なるほどグローバル企業なので全ての営業拠点で同じ品ぞろえを維持する必要は無い、と言うことだね。イギリスから取り寄せても追加の送料は不要。多分コスト固定で社内便扱いの、毎日動いている在庫融通の仕組みがあるのだろう。これもグローバル企業に良くあるパターンだ。秋葉原の間口一間か二間のお店が太刀打ちできないのは当然だし、国内だけで展開している電子部品通販会社にも厳しい状況だ。
今回のまとめ
出力側の電解コンデンサー劣化は長期間使ったPSUの典型的な故障パターンである。多くの場合、電解コンデンサーを交換すれば初期の性能を回復するだろう。
しかし修理しても、最近のPSUに比べた電力変換効率の低さや+12Vレイルの容量不足は解消しない。採算ベースで考えたら修理するのは割に合わないだろう。趣味の範囲なのでやっていられる事である。
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