学問・資格

2012年11月12日 (月)

テスラコイルは分布定数回路

前回の記事では、SGTC(Spark Gap Tesla Coil:スパークギャップを使った伝統的なテスラコイル)の集中定数モデルについて、SPCEシミュレーションなどを使って動作を調べ、ある程度納得できる結果が得られたと思う。しかし「テスラコイルの二次巻き線は分布定数回路として扱うべきだ」と指摘しているWebサイトがいくつかある。

私が覚えている範囲では、classictesla のFile Repository ドキュメント(PDF) 牛嶋昌和のブログの記事でそのような指摘がされていたが、探せばもっとあるかもしれない。また前回記事でモデルにしたテスラコイルのインダクタンスなどを求めるのに使った RF Inductance Calculatorの説明文に「現実のコイルを最も良く表しているのは、らせん状の導体に沿って電磁波が進むとみなすことである」と記載されている。

そこで今回は、前回モデルの二次巻き線を伝送線路に置き換えたモデルを使い、どのような違いがあるのか調べてみた。

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2012年10月26日 (金)

伝統的なテスラコイルのシミュレーション

高圧トランスとスパークギャップを利用する伝統的なテスラコイルがどのように動いているのか、回路シミュレーターを用いて調べてみた。
回路シミュレーターは SIMetrix/SIMPLUS Intro Release 6.2e を利用した。これは
SIMetrix Technologies Ltd のサイトからダウンロードできる無償・無期限のデモ版である。シミュレーションできる回路規模が制限されていて一部利用できない機能があるが、機能ブロックごとにシミュレーションを行えば、大抵の場合問題にはならないと思う。なおダウンロードの際、Eメールアドレス、氏名、および居住国の登録を求められる。

ユーザーインターフェイスは全て英語だ。インターネット上に日本語の解説サイトが複数あるので英語が苦手でも何とか使えると思うが、日本語化されている場合に比べて使い勝手が劣ることは否めない。CQ出版から出ている解説本は高価で付属するアプリケーションのバージョンも古いが、豊富なサンプルや本家からダウンロードしたものには含まれない国産半導体や真空管のモデルが付いてくるらしい。そういったオマケ目当てで購入するのもアリかもしれない。

記事の準備がほとんど終わりかけた頃に気付いたのだが、Richie's Tesla Coil Web PageTesla coil operation および Tesla coil operation (part 2) セクションに、今回の記事とほぼ同じ内容を含む、伝統的テスラコイルの動作原理に関する包括的な解説が掲載されている。
Richie's Tesla Coil Web Page の管理人は実際にテスラコイルを製作して波形測定なども行った上で記事を書いているようだ。今回の私の記事は、現象の解釈は Richie's Tesla Coil Web Page とほぼ同じであるが、更に一歩二歩踏み込んだ結論を導けたのではないかと思っている。

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2012年10月 2日 (火)

テスラコイルとトランスの等価回路

テスラコイルがどんなもので、どのように働くのかについて以前から概略理解しているつもりだったが、最近もっと詳しく理解したいと思うようになるようなきっかけがあったので、定石に従い文献調査と実験を行った。
文献調査はインターネットでアクセスできる範囲、実験は回路シミュレーターで行い、当初の期待を裏切らない程度の成果があったので、これらの結果を別の記事にしようと思っている。ただし若干気懸かりな事がある。

後年何らかの経緯から「コイル」と呼ばれるようになったらしいが、ニコラ・テスラ本人が ”oscillation transformer” と呼んだように、テスラコイルの実態はトランスである。文献調査の一環としてトランスの等価回路を探したところ、テスラコイルに好適なものがネオテス株式会社のホームページで見つかった。同社代表取締役の牛嶋昌和が提唱しているものだ。

気懸かりなのは、私が探した範囲の他のWebサイトで牛嶋が提唱している等価回路と全く同じ内容に言及しているものは見当たらなかったこと、そして基礎的な法則などから「牛嶋の等価回路」を導出する過程が示されているのも見つからなかったことである。もしかしたら、トランスに詳しい人々にとってあまりに明白な常識で、いまさらとりあげるまでも無い、と言う事情があるのかもしれない。しかし、不安のある等価回路に立脚した議論を記事にするのも精神衛生上良くないので、備忘録をかねて、私なりに導出する過程を記事にしておこうと思う。

備考:
この記事を書いた時点の日本語版Wikipediaに「牛嶋の等価回路」に沿った内容が何項目かあるが、これらは牛嶋本人により投稿・編集されたものだと思われる。

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2011年2月26日 (土)

Excelで検証しよう! - 血液型と相性

性格や人間関係と血液型の相関について、神聖な教義であるがごとく信じている人から敵対する異教徒を見るように否定する人まで、様々だ。しかし、同じステレオタイプを共有しているのは間違いないだろう。「A型はチャランポランで、B型はマジメ」と言われている、と思っている人はまず居ない、という意味である。

よく知られていることだが、この発端は能見 正比古の一連の著書だ。バイブル、たぶん新約聖書である。と言うのは、旧約聖書と言うべき先行する書籍があったらしいからである。コーランはまだ書かれていないようだ。

関連書籍も多数出ている。かなりホンキなものから、ほとんどオアソビと言えるものまで様々だ。その中でもオアソビの極致というべきなのが以下の一連の本だろう。実は私の好みだったりするわけだが。

これらは以前単行本(\1,050)で出されていたものが、最近文庫化されたものだ。単行本では最初にB型が2007年9月1日に出た後、翌年4月3日にA型、6月13日にAB型、そしてB型の11ヶ月後になる8月1日にO型の分が出ている。この順番そのものも、色々と想像できておもしろい。なお中間にポストカード版(\735)も出ており、いまでも全て買えるようだ。

B型自分の説明書

A型自分の説明書

AB型自分の説明書

O型自分の説明書

B型自分の説明書ポストカードブック

A型自分の説明書ポストカードブック

AB型自分の説明書ポストカードブック

O型自分の説明書ポストカードブック

好き嫌いがはっきりしそうなネタ本なので、敢えて高いほうをおススメするわけではないが、お好きなら・・・と見え透いた営業はこのくらいにして、本題である。

世間ではA型とB型は相性が悪い、と言われている。立場・性別を問わなければ10位、異性間のことなら15位と16位、つまり最悪である。これが本当かどうか、遺伝の法則を利用して検証できそうなことに気付いてしまったのだ。

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2009年8月22日 (土)

今日を生きよう

ラジオから聞き覚えのある曲が流れてきた。英語の歌詞だ。曲が終わり「グラスルーツの今日を生きよう」と紹介された。なるほど、確かに歌詞の内容に相応しい曲名だ。しかし、私の記憶にあったのはテンプターズの日本語の歌詞の曲だ。とても印象的なサビの部分、”One-Two-Three-Four Sha-la-la-la-la-la ...”は聞き間違い様がないので、どちらかが他方をカバーしたのは確かだ。だが歌詞の内容はずいぶんと異なっていたと思うが、余り自信がない。本当にテンプターズの曲だったのだろうか、また彼らの日本語版の曲名は何だったのか、とても気になった。

インターネットで検索すれば、直ぐに調べはつく。その結果は、ここしばらく私の頭に浮かんでは消える、日本語と外国語、特に英語との関係に対する懸念を、意識の表面に浮上し続けさせてしまうものだった。

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